音楽について

好きな音楽の話をします

THE BACK HORN 「アサイラム」

このバンドの変遷を時期的に区切るのであれば

途方もない怒りで暴れ狂う「何処へ行く」~「心臓オーケストラ」期

狂気と決別し、新たなる道の模索を始めた「イキルサイノウ」~「THE BACK HORN」期

そしてこれまでの集大成となる「パルス」~「リヴスコール」期

の3つにおおまかに分けられると思います。


今回取り上げる「アサイラム」というアルバムは上記の3つ目にあたる「パルス」~「リヴスコール」期に発表されたものです。
すなわち個人的に思う"全盛期"真っ只中の作品。当然ものすごくいい作品です。


THE BACK HORNが作るアルバムの特徴として「濃さ薄さに差があれどアルバム全編を通して物語が存在する」というものが挙げられます。(伝わって欲しい)(実際に聴けばわかる)
つまり明確な方向性を持ってアルバム制作をするというのがこのバンド"だった"のです。


アサイラム」はその通例を打破し、アルバム内での曲の連続性を取り払うことで作曲の自由度があがり表現力の幅が大幅に向上した作品だと考えています。

従来の物語仕立てのアルバム作りはこのバンドの大きな魅力だったわけですが、それを止めたことで結果的に飛躍できたんじゃないか、ということです。


以下楽曲の感想を述べていきます。
※ぼくは主にベースを弾いているのでベース以外のことあまりわかりません。なので楽器のことはベース中心に感想を述べていきます。



1.雷電
作詞:菅波栄純
中東風味の怪しげなリフと旧作の香りが漂う若干の狂気が混ざり合う、集大成だということを猛烈に意識させる渾身の1曲目。
旧作の似たような方向性の曲と比較してかなりクリーンでスッキリしている印象。

2.ラフレシア
作詞:菅波栄純
1曲目のアラビアっぽいリフからエデンやらバベルやら世界観の移動が激しいな
王道の構成でわかりやすくかっこいい。

3.戦う君よ
作詞:菅波栄純
応援ソング
この曲何回も弾いてるけど終盤まで駆け抜けるのしんどいんじゃ

4.再生
作詞:岡峰光舟
展開が目まぐるしく変化する技ありの曲。
負の感情による"破壊"を表現し続けた彼らが"再生"なんて曲を作るなんて、なんて刹那・F・セイエイ的なんでしょう。ダブルオーの存在が影響して様々な面でいい効果を生んだのかなと思います。
個人的に思う存在感のある曲です。

5.羽衣
作詞:山田将司
この曲がやりたくて当時耳コピ初心者だった僕は「アサイラム」のスコアを買いました。
使い道がこれしかないのにベースコーラスも買いました。とても思い入れのある曲です。
緩やかに流れる川のようなベースラインとソロ、水流にたなびく羽衣を彷彿とさせる素晴らしい曲だと思います。


6.海岸線
作詞:菅波栄純
スコア購入後、羽衣の次にコピーした曲です。
当時はサンズアンプという代物を持っていなかったのでどうしたらこの音が出せるのか、本当に試行錯誤しました。
海まで100kmもある内陸に住んでいた思春期にこの曲を聴いたせいで僕は「夜」とか「海岸線」にとても強い憧憬を抱くようになりました。

7.ペルソナ
作詞:山田将司
終盤の展開が熱い。

8.太陽の仕業
作詞:松田晋二
リズム隊が鬼のようなドタバタを繰り広げる曲。
岡峰さんがスリーフィンガー使いだしたのこの辺じゃないかな、知らんけど
激しく照りつける過酷な砂漠を彷彿とさせる。
「イケない太陽」はあんなにアレなのに、この太陽は全然違う感じなんだね… 

9.閉ざされた世界
作詞:菅波栄純
ベースが忙しい(N回目)
当時バンドでコピーしたとき「全編通してムズイのはズルやろ…泣」ってなった記憶があります。
サビのドカンと感が爽快。

10.汚れなき涙
作詞:松田晋二
このリフすごいなー元ネタとかあるのかな、ぼくは知識が深い方ではないのでわからないです
ガランガランの鉄風味増しのベースが荒廃した世界観を表してるような。戦争終結的な背景を感じさせます。楽器の音色で存在しない風景を見せるというのは本当にすごいと思います。

11.パレード
作詞:山田将司
THE BACK HORNあるある「アルバム最後の曲はハズさない」
サビで船を漕ぎ出す。ベースはそれを祝福するかのような波。この先どこへいくのか、そんなこと関係なしにうねり、新たな旅路へと連れ出すような…


感想は以上です。
本当に個人的な所感なので表現がよくわからんみたいなところもあるかと思いますが、その点についてはご了承ください。
アサイラム」、とてもオススメなのでぜひ聴いてみてください。